バイクのサスペンション交換にかかる費用の目安は?自分で交換することはできる?

バイクのサスペンション交換にかかる費用の目安は?自分で交換することはできる?

バイクのサスペンションとは?

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バイクのサスペンションは、バイクの乗り味や運動性能を左右する重要なパーツです。自分の体重や走るシーンに合わせてサスペンションを適切に調節をすると、より快適な走行が楽しめるようになります。

こちらの項ではバイクのサスペンションについて「基本的な役割」と「種類」について解説していますので、サスペンションについて知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

サスペンションの役割

サスペンションには3つの役割があり、「バイクにかかる荷重を支える」「路面からの衝撃を和らげる」に加え、「タイヤを路面に接地させてトラクションを稼ぐ」が、サスペンションの主な役割です。

もしサスペンションがなかったら、路面の衝撃をダイレクトに受けるので乗り心地が悪くなりますし、タイヤを路面に押し付ける力も弱まるので、グリップ力も発揮しづらくなります。

サスペンションとショックアブソーバー

サスペンションは、バネ(スプリング)とショックアブソーバーから成り立っているパーツです。

ショックアブソーバーには、スプリングが路面の凹凸を拾った後、いつまでも伸び縮みし続けようとする力を抑える(収束させる)役割があり、収束させる力のことを減衰力といいます。

減衰力を強くすると、凹凸をダイレクトに感じるハードでクイックなハンドリングとなりスポーツ走行向き、逆に弱くすると路面の凹凸に対し柔らかで、マイルドなハンドリングになるので街乗り向きです。

フロントサスペンションの種類

フロントサスペンションはフロントフォークがその役割を担っており、フロントフォークは外側のアウターチューブ(円筒状の部分)の中に細いインナーチューブが入った、二重構造のテレスコピックが一般的です。

テレスコピックには主に、正立(せいりつ)式フロントフォークと倒立(とうりつ)式フロントフォークがあり、現在ではどちらかが採用されていますが、過去には片持ちフロントフォークも存在していました。

正立式フロントフォーク

正立式フロントフォークは、アウターチューブがフェンダー上あたりからブレーキディスクの中心のアクスルシャフトまで伸びたフロントフォークです。

シンプルな構造でしなやかに動き、低コストなのが正立式のメリットで、原付スクーターから大型バイクまで幅広いモデルで採用されています。

BMWの「テレレバー」や「デュオレバー」は、フロントフォークとガソリンタンクの間に追加でサスペンションが装着され、フロントフォークのみでは制御しきれないブレーキング時の前のめりを抑えるのが役割です。

倒立式フロントフォーク

スポーツバイクを中心に採用されているのが倒立式フロントフォークで、アウターチューブが正立式とは逆に上にあります。

倒立式は上からアウターチューブ、インナーチューブとなり、短いボトムケースがアクスルシャフトに接続されているので、正立式との違いは一目瞭然です。

正立式に比べると剛性や耐久性が高いですが、現在では剛性を求めるのではなく、見た目のかっこよさから倒立式を採用するモデルも増えています。

片持ちフロントフォーク

片持ちフロントフォークとは、通常は左右2本でワンセットのフロントフォークに対し、1本のフロントフォークで前輪を支えているフロントフォークで、1978年に公開されたエルフXやオートバイ漫画「ふたり鷹」の作中に登場したモト・エルフが有名です。

エルフが片持ちフロントフォークやスイングアームの特許権を取得していましたが、1980年にホンダがエルフより全車体の特許権を購入、後にVFR400の片持ちスイングアーム(後輪を支えるフレーム)の導入へとつながりました。

リアサスペンションの種類

バイクのリアサスペンションは、主に後輪を地面に押し付けてグリップ力を増すほか、後輪が拾う路面の凹凸の衝撃を和らげてくれます。

リアサスペンションには、1本のサスペンションで支えるモノショックと、2本で支えるツイン(デュアル)ショックの2種類が主流です。

モノショック

モノショックは、シートの下からスイングアームのピポットの間に固定されているサスペンションです。

モノ(mono)とは単独の意味の英語で、名前の通りサスペンションが1本なので軽量化が図れ、左右のバランスを取る必要もないので調整も簡単にできます。

モデルによっては手の入りにくい位置に装着されているので、プリロード調整(イニシャル調整)や点検がしにくいのがデメリットです。

ツイン(デュアル)ショック

ツインショック(またはデュアルショック)は2本のサスペンションが、タイヤを挟んで左右に1本ずつ独立して装着されています。

モノショックと比較すると、プリロードなどの調整は両方を同じレベルにする必要がありますが、外側にむき出しで装着されているので、整備や調整がしやすいです。

バイクのサスペンションの調整時期はいつ?

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バイクのサスペンションを体重や利用するシーンに合わせ、調整するとより快適な走行が楽しめますが、具体的にはどんなタイミングで調整するのがよいでしょうか。

主に、バイクのサスペンション調整を行うタイミングは以下のとおりです。

  • 積載量が多い・タンデムする時
  • 路面からの衝撃が強い・車体が跳ねるように感じる時
  • カーブが曲がりにくい・接地感が薄い時
  • ライダーの体重が軽すぎる・重すぎる時

積載量が多い・タンデムする時

ロングツーリングなどで多くの荷物をバイクに積載するときや、タンデムで長距離や長時間移動をする場合は、サスペンションの調節を行ったほうが快適になります。

バイクに掛かる荷重が大きくなる場合は、リアのサスペンションが沈み込むので、プリロード調整がついていればプリロードを強めにし、減衰力調節があるなら減衰力を強めにセッティングしましょう。

荷重に対してサスペンションが柔らかすぎる場合は、路面のギャップで底づきをしたり、カーブが曲がりにくくなったりすることもあるので、調節を忘れずに行います。

路面からの衝撃が強い・車体が跳ねるように感じる時

荒れた路面を走行する際など、路面のギャップを拾いすぎて強い衝撃がある場合や、車体が跳ねるような感覚がある場合は、プリロードを弱く設定します。

プリロードを弱くすると路面からの衝撃を和らげてくれ、衝撃がダイレクトに伝わって跳ねる感覚も抑えられますので、路面のギャップが気になる場合は調整しましょう。

カーブが曲がりにくい・接地感が薄い時

ワインディングロードなどカーブの多い道を走行中、思っていたラインより外に膨らんでいくなどカーブが曲がりにくいと感じたら、プリロードを弱めにして様子をみましょう。

プリロードを弱くすると、サスペンションの沈み込みが良くなり、ブレーキング時にしっかりタイヤを接地させることができるので、カーブでの走行も安定します。

ただし、闇雲に調整するとさらに乗りにくくなることもあるので、一気に調整を行わず少しいじっては様子を見ながら、除々に調整していくのがおすすめです。

ライダーの体重が軽すぎる・重すぎる時

国産バイクは工場出荷時に65Kg〜70Kg前後を想定した調整が行われているため、65Kgを大きく上回る、または下回る場合はライダーの体重に合わせた調整が必要です。

65Kgよりも体重が10Kg以上重い場合はプリロードを強めにし、逆に10Kg以上軽い場合は、プリロードを弱めに調整しましょう。

バイクのサスペンション交換手順

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バイクのサスペンション交換の手順を解説していますので、自分で交換してみようと思う方や交換に興味がある方は、参考にしてみてください。

リアサスペンション交換はそれほど難易度が高くありませんが、装着の際に少しシート付近を持ち上げる必要があるので、体力や交換技術に自信の無い方は、プロに交換依頼をするのがおすすめです。

リアサスペンションの交換

リアサスペンション交換の手順は、以下のような流れになります。

  1. スタンドでバイクを支持する
  2. 必要に応じサスペンション周りのパーツを取り外す
  3. サスペンションを取り外す
  4. 片方ずつサスペンションを装着する
  5. 動作確認し取り外したパーツの装着

手順1.スタンドでバイクを支持する

センタースタンドがあるバイクはセンタースタンドを立て、ないバイクでリアスタンドがある場合はスタンドを掛けましょう。

スタンドがない場合、リアサスペンションを外した途端に車体がバランスを崩し、転倒することもあります。

スタンドがなくてもリアサスペンションの交換はできますが、スタンドを掛けた方が作業性も上がりますし、車体も安定するのでできるだけ使用しましょう。

手順2.必要に応じサスペンション周りのパーツを取り外す

サスペンションの脱着でマフラーなど周辺パーツに干渉しそうな場合や、工具が入り込むスペース確保が難しそうな場合は、最初に数編パーツを取り外します。

マフラーなどに干渉しなくても、シートやシートカウルを取り外すと作業性がアップするケースもあるので、必要に応じて作業スペースを確保しましょう。

また、サスペンション周辺にウエスやタオルを当てるなど、脱着の際に傷が付かないよう養生をしておくと安心です。

手順3.サスペンションを取り外す

サスペンションは上部と下部の2点がボルト(国産車は17mmが一般的)で固定されており、2つのボルトを外せばサスペンションが取り外せます。

サスペンションを取り外すとタイヤが下がり、下がった分を持ち上げないとサスペンションの取り付けができないので、サスペンションの取り外し前に、タイヤの下に1cm~2cm程度の雑誌などを噛ませましょう。

外す順序は、まずはサスペンション下部の固定ボルト、次に上部のボルトを外し、サスペンションをバイクから取り外します。

手順4.片方ずつサスペンションを装着する

交換するサスペンションを片方ずつ(ツインショックの場合)取り付けていきましょう。

取り外し時とは逆に先に上部のボルトを固定し、次に下部のボルトを固定していきますが、下部のボルト取り付けはタイヤを少し持ち上げつつボルトを挿します。

ボルトを強く締めすぎると、最悪の場合ネジ山がなめたりボルトがねじ切れたりするので、締めすぎに注意です。

手順5.動作確認し取り外したパーツの装着

サスペンションの取り付けが終わったら、しっかり固定されているかをもう一度確認し、周辺パーツを取り外していれば、それらも元の通りに装着します。

全ての取り付け作業が終わったら実際にバイクにまたがり、様子を見ながらテスト走行も行い、座り心地や沈み具合からサスペンションの調節(プリロードや減衰力)をしましょう。

バイクのサスペンション交換にかかる費用の目安

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バイクショップに持ち込む場合

バイクショップに、自分で用意したサスペンションを持ち込んで交換してもらう場合、フロントの場合は純正品で12,000円~、社外品の場合は18,000円前後が交換工賃の相場です。

リアはモノショックが5,000円〜、ツインショックは8,000円~で、モノショックでもアメリカンバイクの場合は9,000円~が相場になります。

またカウル付きのバイクなど交換に時間のかかるモデルは、1,000円~3,000円程度工賃が上乗せになる場合も。

オーバーホールを依頼する場合

サスペンションによっては、オーバーホール(分解して点検・消耗品の交換)できるものもあり、オーバーホールを含めた作業工賃は以下のとおりです。

フロントフォークのオーバーホール工賃目安(消耗部品の代金含む)

フロントフォーク(正立式) 24,000円~
フロントフォーク(倒立式) 26,000円~
カートリッジ式の場合 上記工賃に+5,000円~

リアサスペンションのオーバーホール工賃目安(消耗部品の代金含む)

モノショック 24,000円~
ツインショック 32,000円~
アメリカンバイク・モノショック 35,000円~

自分で交換する場合

自分でサスペンションを交換する場合、必要な費用は交換する新しいサスペンション代のみで、工賃は発生しません。

リアのサスペンションを交換する場合、センタースタンドがあるバイクは難易度も下がりますし、ない場合でもリアタイヤをアップできるスタンドがあれば、交換にかかる時間も短縮できます。

バイクスタンドはシンプルな構造のもので、5,000円前後から買えますが、1本のみで支えるメンテナンススタンドは転倒の可能性もあるので、左右の2点で地面に接するタイプのスタンドを選びましょう。

バイクのサスペンション交換に関するFAQ

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こちらの項では、バイクのサスペンション交換に関する「よくある質問」と「その回答」についてまとめてあります。

サスペンション交換をしようと思っている方、交換に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。

ジャッキなしでもバイクのリアサス交換はできる?

ツインショックの場合は片方ずつ交換していけばジャッキがなくても交換できますが、サスペンションを固定するボルトを引き抜く際と、新しいサスペンションを固定する際に少しシート付近を持ち上げる力が必要です。

サスペンションを固定するボルトを引き抜く際に、穴がまっすぐになっていないとボルトが引っかかって抜きづらいので、軽く車体を持ち上げながらボルトを引き抜く形になります。

新しいサスペンションを付ける際も、固定ボルトをまっすぐ入れるのに車体を軽く持ち上げる必要があり、その点がクリアできればジャッキなしでも交換は可能です。

サスペンションの寿命はどれくらい?

サスペンションの寿命は、走行距離で5万~7万Km、耐用年数で7年~10年前後が一般的です。

しかし、路面のギャップなどから強い衝撃を頻繁に受け続けた場合や、事故を起こして衝撃を受けたが問題なさそうなのでそのまま使用しているなど、衝撃によりサスペンションに抜けという症状が出ることも。

抜けとは、ショックアブソーバーがなかなかスプリングの運動を収束させにくくなり、長時間揺れが続くようになった状態で、抜けが出てくると交換かオーバーホール時期です。

バイクのサスペンションのへたりはどう確認する?

バイクのサスペンションを交換する目安となるヘタリは、「路面のギャップが収束しにくくなった」「タイヤの接地感が弱くなった」「カーブが曲がりづらくなった」などの症状が現れてきた場合に発生している可能性があります。

また、オイル漏れがないかも確認ポイントですし、慣れている方は実際にサスペンションを押してみて「戻りのタイミングがおかしい」「かける荷重に対して沈み込みすぎる」などから分かることも。

タイヤの空気圧が以前から同じなのに、足つき性が良くなった場合も、リアサスペンションのヘタリが疑われます。

まとめ

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バイクのサスペンションについて、サスペンションの役割や種類など基本的な解説から、交換の仕方までお伝えしてきました。

サスペンションの交換時期は、走行距離または使い始めてからの期間によっても判断できますが、抜けやヘタリがでてきたら交換を考えるのがよいでしょう。

交換時にショップに依頼する場合、目安となる費用も合わせてお伝えしていますので、バイクのサスペンション交換を考えている方は、ぜひそちらも参考にしてみてください。

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