バイクのリチウムイオンバッテリーのメリット・デメリット!鉛バッテリーとの比較表も
バイクのリチウムイオンバッテリーのデメリット

引用元:https://pixabay.com/ja/photos/8A-791333/
バイクのリチウムバッテリーは、一般的な鉛バッテリーよりも自然放電しにくい特性があり、しばらくバイクに乗っていなくてもバッテリー上がりを起こしにくいため、人気があります。
ただし、以下のようなデメリットがあるので、導入を考えている人はデメリットと比較をした上で、検討するのがおすすめです。
①寒さに弱い
リチウムバッテリーは急激な温度変化に弱く、気温が0℃以下になると始動性が大幅に落ちることがあり、寒さに弱い点がデメリットのひとつです。
特に寒冷地で冬場の取り扱いが難しく、多くの電力が必要となる始動時に、うまくセルが回らないなど、機能しない事態も起きます。
低温以外にも高温にも注意が必要で、直射日光が当たる場所や高温になる場所での保管を避けるようにしましょう。
②価格が高い
リチウムバッテリーは、純正などにも採用されている、一般的な鉛バッテリーと比べると2~3倍価格が高い点もデメリットです。
しかし、鉛バッテリーよりも高寿命でメンテナンスもする必要がないので、ランニングコストや点検の手間から見た場合は、必ずしも価格が高いとは言えない面があります。
純粋にバッテリーの価格だけで比べた場合は、リチウムイオンバッテリーのほうが高く、手軽に入手しづらいという点で、価格の高さはデメリットと言えるでしょう。
③専用の充電器が必要な場合がある
リチウムバッテリーは鉛バッテリーとは充電方式が異なるため、専用の充電器が必要になるケースがほとんどです。
鉛バッテリーの充電器は、ガソリンスタンドなどさまざまな場所に用意されていますが、リチウムバッテリーの充電器まで用意されていないこともあり、鉛バッテリーほど手軽に充電できません。
鉛バッテリーの充電器を使用すると、最悪の場合は過充電による発火の可能性もあるので、必ず専用の充電器を使いましょう。
④電圧変動にシビア
LiFePO4などの一般的なリチウムバッテリーは、使える電圧範囲が10V〜14.5V程度と狭いため、電圧が変動すると使用範囲を超えてしまうことがあります。
使用範囲よりも電圧が高くなる(14.6V以上:過電圧)と発熱や発火、本体が膨張するリスクが生じ、10Vを下回ってくると、バッテリーが回復しなくなる可能性が高いです。
使用電圧範囲が狭く、使用範囲を超えてしまうと発火や回復不能などのリスクがあり、電圧変動にシビアな点も、リチウムバッテリーのデメリットになります。
⑤互換性・取り付け注意
電圧が安定しなかったり、古いバイクだったりする場合、鉛バッテリーからの交換がスムーズにできない互換性の問題もデメリットです。
バイクのレギュレータや充電系統がリチウムイオンバッテリーに対応できないと、過充電になる可能性があり、取り付け時に注意しないといけない点もデメリットになります。
鉛バッテリーからリチウムイオンバッテリーに交換の際は、互換性があるのか、取り付けができるのかを確認したうえで交換しましょう。
⑥突然使用停止のリスク
リチウムイオンバッテリーには、過電圧や過放電などの状況になると、回路を遮断して機能を停止させる保護回路が備わっています。
そのため、使用環境によって過充電などの状況に陥ると、リチウムイオンバッテリーが突然使用できなくなる点もデメリットです。
鉛バッテリーは突然機能停止することがなく、除々にライトが暗くなるなど予兆がありますが、リチウムイオンバッテリーは突然使用停止になることもデメリットと言えます。
⑦発火・発煙リスク(ごく稀)
極稀に発火や発煙リスクがある点も、鉛バッテリーにはないリチウムイオンバッテリーのデメリットです。
特に質の悪い安価なリチウムイオンバッテリーを選ぶと、過充電でも保護回路が働かず、発火や発煙のリスクが生じます。
一度発火すると消火は難しく、水をかけるとリチウムに反応して爆発を起こす危険性もあるので、使用の際は価格だけで判断せず、信頼と実績のあるリチウムイオンバッテリーを選びましょう。
バイクのリチウムイオンバッテリーのメリット

引用元:https://pixabay.com/ja/photos/AF-7433291/
バイクのリチウムイオンバッテリーのメリットは、以下のようになっています。
- 超軽量
- 長寿命
- 自己放電が少ない
- 充電スピードが速い
- 高出力・安定した電圧
- 液漏れ・ガス発生の心配なし
- 急激な劣化が少ない
メリットを順番に詳しく見ていきましょう。
①超軽量
リチウムイオンバッテリーは、鉛バッテリーの3分の1~5分の1の重量と超軽量な点がメリットです。
リチウムイオンバッテリーの重量は500g~700g前後で、バッテリーが軽くなるとバイクの重心が下がってコーナリングでの安定感も増します。
また、ハンドリングの向上にもつながり、特にレース車両では走行に大きなアドバンテージ(優位性)が生まれ、軽量によりメリットが大きいです。
②長寿命
リチウムイオンバッテリーは通常使用での寿命が5~10年と長く、鉛バッテリーの2~3年の寿命に比べると、遥かに長寿命な点も大きなメリットです。
通常の使用で鉛バッテリーの2~3倍の寿命があるうえ、メンテナンスも必要ないので、長い期間安定して使えます。
バッテリーの価格で比較すると、リチウムイオンバッテリーの方が高額ですが、使用できる年数やメンテナンスが不要な点から見ると、むしろリチウムイオンバッテリーの方が安いです。
③自己放電が少ない
リチウムイオンバッテリーは自己放電が少なく、長期間放置していても電圧が下がりにくいです。
鉛バッテリーは2~3週間放置していると、電圧の低下が生じますが、リチウムイオンバッテリーは鉛バッテリーの5分の1以下の自己放電率で、長く安定した電圧を保ってくれます。
バイクで一般的な鉛バッテリーに比べ、自己放電が圧倒的に少ない点が、リチウムイオンバッテリーのメリットです。
④充電スピードが速い
リチウムイオンバッテリーは、1時間~2時間程度で充電時間が済む、「充電速度の速さ」もメリットの一つです。
鉛バッテリーは通常の充電で、5時間~10時間以上の充電時間が必要になりますが、リチウムイオンバッテリーは、5分の1程度の時間で充電が完了します。
ただし、リチウムイオンバッテリーの充電は専用の充電器が必要となり、鉛バッテリー用では充電できないので注意が必要です。
⑤高出力・安定した電圧
高出力で安定した高電圧で、冬場(気温が0℃より高い日)も、元気にセルが回ってくれるのも、リチウムイオンバッテリーのメリットです。
リチウムイオンバッテリーはセル内部の抵抗が低く、大電流を瞬時に供給できるため、いつでも安定した電力を発揮してくれます。
鉛バッテリーからリチウムイオンバッテリーに交換すると、セルの回りが元気になったと感じるライダーも多いです。
⑥液漏れ・ガス発生の心配なし
リチウムイオンバッテリーは、鉛バッテリーのような液体の電解質を使っていないため、液漏れの心配がありません。
倒したり逆さまにしたりしても液漏れせず、硫酸ガスなどの有害ガスも発生しないため、体にも地球環境にも優しいバッテリーなのがメリットです。
特に転倒のリスクがあるバイクでは、倒しても液漏れが起こらないリチウムイオンバッテリーは、大きなメリットになります。
⑦急激な劣化が少ない(温度以外)
自己放電が少なく高寿命なリチウムイオンバッテリーは、急激な劣化も少ないです。
ただし極端に気温が低い日など、冬場の寒冷地で使用する場合は、バッテリー性能が発揮できないこともあります。(事前ウォームアップで改善することあり)
バッテリーが急激に劣化せず、長い期間安定して使える点もメリットのひとつです。
おすすめのリチウムイオンバッテリー
長寿命で軽量、しばらく放置しても電圧が下がりにくいリチウムイオンバッテリーのおすすめを5点紹介していきます。
一般的な鉛バッテリーからリチウムイオンバッテリーへの交換を考えている人は、ぜひ選ぶ際の参考にしてみてください。
AZ LIB MCバッテリー AZ

引用元:https://bikeman.jp/products/az-itx12-fp
安定した性能を発揮する、より高寿命なリチウムイオンバッテリーが欲しい人におすすめなのが、エーゼット(AZ)「AZ LIB MCバッテリー」です。
NMCなど一般的なリチウムイオンバッテリーよりも、さらに高寿命なLiFePO4(リン酸鉄リチウムイオン)が採用されており、優れた低温始動性能のバッテリーになっています。
- 商品名:AZ LIB MCバッテリー
- メーカー:エーゼット(AZ)
- 長さ×幅×高さ(mm):150×93×87
- 重量:700g
- 販売価格(税込):21,371円

引用元:https://bikeman.jp/products/drc-d45-09-103
コンパクトなリチウムイオンバッテリーが欲しい人におすすめなのが、ディーアールシー(DRC)「タフスター リチウムバッテリー #103」です。
防水仕様で雨や洗車時の水にも強く、バッテリー残量が一目でわかる、LEDインジケーターを装備しています。
- 商品名:タフスター リチウムバッテリー #103
- メーカー:ディーアールシー(DRC)
- 長さ×幅×高さ(mm):134×65×92
- 重量:610g
- 販売価格(税込):19,885円

引用元:www.amazon.co.jp/dp/B00DRR3HBW
Amazonでユーザーレビューの評価が高いのが、SKYRICH(スカイリッチ)「リチウムイオンバッテリー HJTZ7S-FP-SI」です。
2025年 7月現在、ユーザーによる星での評価が4.4と高く、ISO-9001とISO-14001を取得している安定した品質のリチウムイオンバッテリーになっています。
- 商品名:リチウムイオンバッテリー HJTZ7S-FP-SI
- メーカー:SKYRICH(スカイリッチ)
- 長さ×幅×高さ(mm):113×70×105
- 重量:600g
- 販売価格(税込):18,500円

引用元:www.amazon.co.jp/dp/B0DZFVHD5K
安価なバイク用リチウムイオンバッテリーを探している人におすすめなのが、T.E.T
「バイク リチウムイオンバッテリー LFP4L」です。
1万円を切る価格(2025年 7月現在)のリチウムイオンバッテリーで、「鉛バッテリーとの違いを試してみたい」と思っている人や、「そろそろ鉛バッテリーの寿命が近づいてきた人」におすすめ。
- 商品名:バイク リチウムイオンバッテリー LFP4L
- メーカー:T.E.T
- 長さ×幅×高さ(mm):113×69×105
- 重量:約600g
- 販売価格(税込):8,999円

引用元:https://bikeman.jp/products/drc-d45-09-102
ディーアールシー(DRC)「タフスター リチウムバッテリー #102」は、オフロード車全般に向けて設計されています。
リチウムイオンバッテリーは、自己放電が1ヶ月あたり1.2%程度と鉛バッテリーよりも遥かに少ないため、週末や休日のみツーリングやコース走行を楽しむライダーに最適です。
- 商品名:タフスター リチウムバッテリー #102
- メーカー:ディーアールシー(DRC)
- 長さ×幅×高さ(mm):107×56×85
- 重量:420g
- 販売価格(税込):18,828円
リチウムイオンバッテリーと鉛バッテリーを比較

引用元:https://pixabay.com/ja/photos/A0-2490122/
リチウムイオンバッテリーと鉛バッテリーの性能比較や、取り扱いやすさの比較を表にまとめてみました。
| 項目 | リチウムイオンバッテリー(Li-ion) | 鉛バッテリー(鉛蓄電池) |
| 重さ | 非常に軽い(1/3~1/5) | 重い |
| 寿命 | 約5~10年(充放電サイクルが多い) | 約2~3年 |
| 価格 | 高価(鉛の2~3倍) | 安価 |
| 始動性能 | 高出力・安定電圧で始動性良好 | 通常は問題ないが、低温にやや弱い |
| 寒さへの耐性 | 弱い(0℃以下で性能低下) | 比較的強い(寒冷地に強い) |
| 自己放電(放電耐性) | 少ない(数ヶ月放置でもOK) | 比較的多い(2~3週間で電圧低下) |
| 充電速度 | 速い(短時間で満充電可能) | 遅め |
| 液漏れリスク | なし(個体 or ゲル) | あり(希硫酸) |
| 横倒しOK? | OK(構造上問題なし) | NG(液漏れの恐れあり) |
| 充電器 | 専用(LiFePO4対応推奨) | 一般的な充電器でOK |
| メンテナンス | 不要(完全メンテナンスフリー) | 場合によって補水が必要 |
| 取り付け性 | 軽すぎて隙間対策が必要なことも | 車体に合いやすいサイズ感 |
| 安全性 | 発火・膨張のリスクあり(粗悪品に注意) | 比較的安定(爆発などは稀) |
イチウムイオンバッテリーと鉛バッテリーの比較から、イチウムイオンバッテリーの特徴が見えてきます。
- 重量が非常に軽い
- 寿命が長い
- 自己放電が極めて少ない
- 価格は高い
- 寒さへの耐性が鉛バッテリーより低め
- 液漏れのリスクがない
- メンテナンスの必要がない
- 安全面では発火や膨張のリスクがあり、鉛バッテリーの方が安全
中でも、重量が鉛バッテリーの3分の1~5分の1程度と非常に軽く、寿命も倍くらい長いあり、自己放電が少ないのがイチウムイオンバッテリーの大きな特徴です。
また、充電時間も鉛バッテリーの半分以下の時間で終わり、倒しても液漏れなどのリスクはありませんが、過充電や過電圧によっては発火や膨張のリスクがあります。
価格もリチウムイオンバッテリーの方が高いですが、メンテナンスの必要がなく高寿命なので、価格が高いだけの性能は得られるバッテリーです。
結論:結局どっちがいい?
バイクに乗る頻度でリチウムイオンバッテリーか、鉛バッテリーのほうが良いか変わってきます。
週末ライダーなどバイクに乗る機会が少ない人は、鉛バッテリーよりも自己放電が少なく、充電時間も短いリチウムイオンバッテリーがおすすめです。
通勤・通学など日常の足としてバイクに乗っている人は、自己放電する間もなく安定して使えるので、価格も安く充電もしやすい鉛バッテリーがおすすめ。
リチウムイオンバッテリーを選ぶべき人
リチウムイオンバッテリーを選ぶべき人は、バイクに乗る頻度が週1回から月に数回程度の人です。
リチウムイオンバッテリーは、鉛バッテリーに比べて自己放電が少ないため、数ヶ月放置していても安定した電圧が確保されています。
万が一バッテリー上がりを起こしていたとしても、充電時間が1~2時間程度と鉛バッテリーの半分以下の充電時間で済むため、バイクに乗る頻度が少ない人は、リチウムイオンバッテリーを選ぶべき人です。

引用元:www.amazon.co.jp/dp/B00C70GLG8
製品保証がしっかり付いているリチウムイオンバッテリーが欲しい人におすすめなのが、エーゼット「シールド型 バイク用バッテリー ITZ7S-FP」です。
装着後の走行距離が2万kmか、購入より12ヶ月のうち、到達が早い何れかのタイミングまで製品保証が付いているので、安心して使用できます。
- 商品名:シールド型 バイク用バッテリー ITZ7S-FP
- メーカー:エーゼット(AZ)
- 長さ×幅×高さ(mm):113×70×85
- 重量:約600g
- 販売価格(税込):17,433円
鉛バッテリーを選ぶべき人
鉛バッテリーを選ぶべき人はコストを重視する人や、普段から頻繁にバイクに乗っている人です。
バイクの工場出荷時にも採用されている、一般的な鉛バッテリーは、生産されている数も多くリチウムイオンバッテリーに比べ安価で、コストを抑えたい人は鉛バッテリー一択になります。
また、鉛バッテリーは自己放電が早く小まめな充電が必要となるため、普段から足代わりとしてバイクに乗っている人におすすめです。
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