バイク漫画の金字塔「キリン」の魅力って?あらすじから登場車種、キャラクターまで徹底解説

バイク漫画の金字塔「キリン」の魅力って?あらすじから登場車種、キャラクターまで徹底解説

バイク漫画キリンのあらすじ

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バイク乗りなら、おそらく1度はバイク漫画「キリン」の名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。
キリンは、バイクの走行シーンはもちろん、主人公や周りの人物との人間ドラマ、人生観などが描かれた漫画です。
連載が開始されたのは1987年で、バイク雑誌「ミスターバイクBG」での連載を皮切りに、掲載紙面を変えながら連載されました。
そんなキリンには、大きく分けて4つのエピソードがあり、「POINT OF NO RETURN!」を始め、「The Horizontal Grays」、「RUN THE HAZARD」、「WONDER NET WANDER」の4つに分かれています。
東名高速を舞台に、主人公「キリン」がデカ尻と呼ぶポルシェとの伝説のバトルを描いた「POINT OF NO RETURN!」、峠の走り屋チームを中心に、繋がるバイク乗りとGT-Rとのバトル風景を描いた「The Horizontal Grays」。
カタナを仙台より受け継いだ若き日のキリンと、バイクチーム「ガルーダ」との確執を描いた「RUN THE HAZARD」、キリンと父、祖父の3代に渡る物語が展開する、「WONDER NET WANDER」の4つです。

バイク乗りのバイブルとも言われる

漫画キリンは、年齢を問わず多くのバイク乗りから愛され続け、バイク乗りのバイブルとも言われています。
様々なバイクが登場するだけでなく、キリンやキリンに関わる人物の生き様が描かれ、「キリンは泣かない」「こっち側」など作中に登場する言葉が名言として取り上げられるなど、ファンも多いです。

バイク漫画キリンは4つのエピソードに分かれる

単行本で39巻が発売されているキリンは、1巻からのPOINT OF NO RETURN!をはじめ、全部で4つのエピソードに分かれています。
• 1〜4巻「POINT OF NO RETURN! 編」
• 5〜18巻「The Horizontal Grays 編」
• 19〜35巻「RUN THE HAZARD 編」
• 36〜39巻「WONDER NET WANDER 編」
がキリンのエピソード構成です。
各エピソードのあらすじを紹介していきます。

「POINT OF NO RETURN!」編(1〜4巻)

主人公は、広告代理店に勤める38歳のキリンと名乗る男性(本名不詳)。
それまで妻と平凡な生活を送っていましたが、趣味だったバイクにのめり込んでいくことで、キリンの人生が大きく変わり出します。
妻からバイクを禁止されながらも、隠れて逆輸入車の「スズキ・GSX1100Sカタナ」を購入、夜な夜な200Km/hを超える速度で高速道路を走行していました。

ある日、いつものように高速道路を走行中、メルセデスベンツと衝突事故を起こし、生死の堺をさまようことに。なんとか無事に復帰するも、愛想を尽かした妻から離婚され、治療とリハビリのための長期入院により、広告代理店も解雇されてしまいます。
ベンツとの事故を堺に大きく人生が狂い出したキリンでしたが、以前の実績から役員待遇で再就職先が決まり、これまでの不遇を忘れるかのように猛烈に働きました。

しかし、心にぽっかり空いた穴が埋まることなく、どこか虚しさを感じる日々。
やがて、バイクにまたがり、再び夜の高速道路を走り出すキリン、走行中に出会ったのが、キリンが「デカ尻」と形容する1台の黒いポルシェでした。
突然2台でのバトルが始まり、これまで封印してきたスピードに再び魅了されていきます。

「The Horizontal Grays」編(5〜18巻)

「The Horizontal Grays編」は、走り屋チーム「むてきんぐ」のリーダー格「不破マサキ」と、前エピソードにも登場した「モヒ」、「チョースケ」を中心に展開していく物語です。
モヒは、マサキ行きつけの喫茶店「ランプル」のマスターで、モヒの親友でもあるチョースケと「バーン・ストーム・トゥルップス」(BST)のメンバーでした。

マサキとBSTはバイクを通じた交流を続けていましたが、ある時首都高を走っていると、GT-Rで結成されたチーム「モルフィス」に遭遇します。
バイク乗りのプライドでGT-Rに戦いを挑むチョースケでしたが、事故でチョースケの乗るマシンは大破、入院する事に。

事故の傷も完全に癒えていない中、チョースケは首都高で再びGT-Rにバトルを挑みますが、今度はトラックに激突、帰らぬ人となってしまいました。
チョースケの仇を取ろうとGT-Rとバトル中、突然乱入してきたBMWのR1100RS。その姿を見てモヒは、「キリンか!」と声を発しますが・・。

「RUN THE HAZARD」編(19〜35巻)

カタナを受け継いだ若き頃の「キリン」が登場し、乱立するバイクチーム間の抗争を中心に描いているのが、ガルーダ編とも呼ばれる「RUN THE HAZARD編」です。
モヒのチーム「バーン・ストーム・トゥルップス」や他のバイクチームを飲み込みながら、どんどん拡大していくバイクチーム「ガルーダ」。やがてはキリンとガルーダのカシラとのバトルへと発展していきますが、無秩序に拡大していくガルーダに内乱が起き、やがては分裂を起こします。

ガルーダのカシラが信頼を寄せていたチーム幹部も続々とガルーダを離れ、キリンとのバトルにも敗れたカシラは、仲間だけでなくチーム内での権威も失っていきました。

ガルーダは結局崩壊を起こし、チームを失ったカシラは再度キリンにバトルを挑んでいきます。
これまでは、チームという大きな力の後ろ盾がカシラにはありましたが、チームが崩壊したことで、もはや失うものは何もないと、正々堂々と己の力だけでキリンに挑むのでした、

「WONDER NET WANDER」編(36〜39巻)

キリンとその父、祖父の3代とマッハ(カワサキ・750SS)との物語を描いているのが「WONDER NET WANDER編」です。これまでのシリーズでは、キリンが駆るバイクはカタナでしたが、このシリーズではマッハへと変わっています。

海岸沿いの町で生活する「琴吹 凛」は、祖父から父、そして凛へと受け継がれたマッハで、日々バイクを楽しんでいました。
両親はバイク店「琴吹輪業」を営んでおり、ある日父より「バイクで遊ぶのは止め、バイク店を引き継いで欲しい」と懇願されます。
これまで、琴吹輪業とヤクザとのいざこざを見てきたことと、古臭いバイク店に魅力を感じていなかったことから、突然の懇願に凛は躊躇(ちゅうちょ)してしまいました。

ただ純粋にバイクを楽しんできましたが、父の家業を引き継いで欲しいとの申し出に、初めて人生の意味を考えるようになります。
悶々とした思いを抱え生活していましたが、やがてその答えを求め、凛はマッハに乗って一人旅へと出かけて行きます。

バイク漫画キリンの登場人物

こちらでは、バイク漫画キリンに登場する人物を紹介しています。

キリン

漫画のタイトルにもなっている「キリン」は、都内の中小企業(広告代理店)に勤める38歳の男性です。
妻に止められながらもバイクに乗り、関越道で200Km/hを超えるスピードで走行中、追い越し車線に出てきたメルセデス・ベンツに追突し、大怪我を負い入院しました。
その事故がきっかけで、妻と離婚になり、勤めていた広告代理店も退社となりましたが、役員待遇で再就職先が決まり、また夜の高速道路へと身体を向けていくのでした。

打倒ポルシェの思いが強く、部屋にはポルシェ911のポスターが貼られており、そのポスターを見たOLの中村からポルシェ好きと誤解されることも。
ベンツと事故を起こした頃の愛車は、逆輸入車スズキGSX1100E、再就職先が決まった後はGSX1100Sカタナとなっています。
後に、BMW R100RSを乗っている際に東名高速でポルシェに遭遇、闘争心からR100RSを売却し、再びカタナを買い戻して打倒ポルシェに燃えるなど、ポルシェへのこだわりが強いです。

橋本

橋本は、ポルシェをこよなく愛するポルシェフリークで、マルタケ不動産に勤める36歳の男性です。
保有しているポルシェは、1973年式のカレラRS(通称:ナナサンカレラ)と、別モデルのエンジンを載せた1984年式911カレラの2台。
普段は物腰の柔らかい温厚な紳士ですが、ポルシェのハンドルを握るとその性格は一変、都内を160Km/hで走行するなど攻撃的な面が現れます。
キリンとは仕事の関係で知り合い、橋本のポルシェとバイクのバトルをキリンから持ちかけられ、浜松までの間バトルを繰り広げました。

中村

中村は「POINT OF NO RETURN!」編に登場する24歳のOLで、キリンとはクリスマス前夜にバーで知り合います。
一時期バイクを引退していたキリン、中村との出会いをきっかけに、再びバイクを駆るようになりました。
バイクには全く興味のない中村でしたが、キリンの見ている世界も自分も見てみたいと、自身も中型免許を取得します。
骨折したキリンをタンデムに乗せて走る中村の姿も描かれ、2台でキリンとのツーリングも果たすことができました。

チョースケ

チョースケは、1編「POINT OF NO RETURN!」と2編「The Horizontal Grays 編」」に登場し、1編ではカワサキ・GPZ900Rニンジャに乗っていました。
3本のイエローライン、別格という一言も表記されているSHOEI製の黒いフルフエィスがトレードマーク。
キリンと共に、箱根ターンパイクを走行中にポルシェに遭遇、バトルを仕掛けましたが、ドリフトでコーナーを抜けるポルシェに追従しようと大転倒、GPZ900Rを全損させてしまいます。
2編では高速でGT-Rとバトル、事故を起こし入院しますが、傷も癒えないうちに再びGT-R相手にバトル、今度はトラックに激突し、帰らぬ人となりました。

モヒ(長尾 泰三)

バイク乗りが集まる喫茶「ランブル」のマスターで、モヒカンがトレードマークのモヒは、その髪型から「モヒ」と呼ばれています。
チョースケとともに、バイクチーム「バーン・ストーム・トゥルップス」(BST)に所属し、愛車はホンダのCB1100R改です。
キリンと橋本のポルシェのバトルを目撃したモヒは、興味本位からバトルに乱入、先頭を取るもエンジンブローにより戦線離脱、直後に事故を起こすキリンを目撃します。
所属するバイクチームBSTは、ゼロヨンレースで知り合ったCB750Fの男(通称ナナハン乗りの男)とモヒが結成したチームでしたが、ナナハン乗りの男が事故死したことで、モヒが受け継ぐ形となりました。

不破 雅樹

不破 雅樹(マサキ)は、スズキ・RGV250Γ SPに乗る、「The Horizontal Grays」編の主人公的な人物です。
レーシングチーム「むてきんぐ」に所属し、地元の峠を走り込む走り屋でしたが、大型バイクとのバトルであっさり敗れ去ったことから中型に限界を感じ、大型免許(限定解除)を果たします。
バイク乗りが集まる喫茶店「ランブル」の常連で、モヒやチョースケとの交流があり、大型免許取得後にはモヒからホンダ・CB750Fを譲り受けました。
しかしある日、夜間に3人で都内を走行中、事故でCB750Fを全損させてしまい、今度はモヒの以前の愛車だったGPZ900Rニンジャを譲り受けることに。
高校を中退後、バイク便で生計を立てていましたが、バイク便でも使うGPZ900Rのガソリン代や維持費を捻出するのに苦労します。

彩子

彩子(サイコ)は、マサキの同級生で、マサキのバイクにタンデムしたことをきっかけに、自動二輪の免許取得を決意します。
もともとはヤマハ・JOGが愛車でしたが、免許取得後からはカワサキ・ZEPHYR400が愛車となりました。

琴吹 凛

「WONDER NET WANDER 編」に登場する女性で、父は小さな琴吹輪業を経営しています。
登場当初は親元を離れ廃バスで生活をし、家業には全く興味がなく、バイクにも乗っていませんでした。
やがて、祖父から父へと受け継がれた、カワサキ・750SS(マッハ)が凛へと渡り、優れたライディングテクニックを持つライダーとなります。
最初は乗りにくかったマッハでしたが、次第に乗りこなし方が分かり、楽しさに変わって行った頃、父から琴吹輪業を引き継いで欲しいと言われるのでした。

バイク漫画キリンに登場するバイク車種は?

漫画キリンでは、主人公のキリンが駆る「スズキ・GSX-R1100KATANA(カタナ)」のほか、GPZ900Rなど様々な車種が登場します。
こちらの項では、キリンに登場するバイクのご紹介です。

GSX1100S KATANA(カタナ)

GPZ900R Ninja

カワサキ・GPZ900R Ninjaは、1984年に販売開始され、当時は空冷が主流な中、水冷モデルとして注目を浴びたモデルです。
映画「トップガン」でも、主人公マーヴェリック(トム・クルーズ)がGPZ900R Ninjaに乗るシーンが描かれ、特徴的な流線型のフォルムに憧れる人も多かったのだとか。
908ccの排気量ながら115psを発揮し、最高速度が250Km/hをマークするなど、発売当時は世界でもトップクラスの高いパフォーマンスを持つモデルでした。

RGV250Γ

スズキ・RGV250Γ(ガンマ)は、初代が1988年に登場した、250ccのレーサーレプリカです。
Γ(ガンマ)には、2ストロークエンジンが積まれ、低速はスカスカでレスポンスが悪いですが、いざパワーバンドに入ると一気に吹け上がり、猛烈な加速を発揮します。
軽量でコンパクトを実現できるVツイン型エンジンが採用され、128Kgの軽量ボディに、最高出力が45psですが、輸出仕様では65psと、更に強烈な馬力です。

CB1100R

ホンダ・CB1100Rは、開発当時からレースで世界最高のパフォーマンスを目標に作られたバイクで、1981年から1983年まで限定で発売されました。
開発のベースとなったのがCB900Fで、空冷4ストローク4気筒エンジンを搭載し、最高出力は115psを発生します。
CB1100Rの「R」はレーシングを表し、販売台数は世界で5,000台程度に抑えられ、レースのベースマシンらしく、当時の新車販売価格は250万円と高額でした。
キリンでは、喫茶店ランブルのマスター「モヒ」がCB1100Rに乗っています。

Z1000MKII

Z1000MKIIは、1978年から1980年までカワサキが販売していた大型バイクです。
1972年より販売されてきた、Z900(Z1)の基本構造をベースに開発されたモデルで、硬派なデザインから「角ゼット」の愛称でも呼ばれてきました。
2022年現在も根強いファンが多く、中古車市場では600万円前後での価格で取引がされ、プレミアムモデルとなっています。

バイク漫画キリンの名言・名シーン

The Horizontal Grays編でよく登場する言葉に「チャック・チャック・イエーガー」があります。
モヒがピンチになったときに発しますが、絶望を回避するときに、おまじないとしてこの言葉を発しているとのこと。
人類で初めて音速の壁を超えた「チャック・イエーガー」が由来となっており、キリン愛好家の中では知らない人はいない有名な言葉になっています。

バイク漫画キリンは実写映画化もされている

出典元:https://pixabay.com/ja/photos/9e-5800387/

キリンは漫画だけでなく、実写版としても公開されています。
漫画単行本1~4巻の「POINT OF NO RETURN!」編が実写の映画として、2012年3月3日に公開されました。
主人公のキリンは、真木 蔵人さんが演じ、ポルシェ911とのバトルやバイク同士のバトルシーンなど、実際の走行を元に映像化されています。

実写版キリンを観るには

実写版キリンはYouTubeのレンタル、Amazonプライムなどの動画配信サイトで観られます。
ほかにも、DVDでも発売されているので、気になった方はチェックしてみてください。

まとめ

バイク乗りのバイブルとも言われる、漫画キリンについて、あらすじや登場人物、作中で出てくるバイクについて紹介してきました。
キリンは単行本で39巻まで発売されている対策で、主に4つのシリーズに分かれています。
シリーズごとに主人公を変えながら、相互に関連しているので、いろいろな人物の視点で物語が楽しめる内容です。
実写版も映画化され、2022年6月現在ではYouTubeのレンタルやAmazonプライムビデオなどでも観られますので、ぜひチェックしてみてください。

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