【原因と対策】バイクエンジンから異音?ノッキングの症状や原因、防止対策まで解説

【原因と対策】バイクエンジンから異音?ノッキングの症状や原因、防止対策まで解説

ノッキングとは

引用元:https://pixabay.com/ja/photos/a4-1851258/

ノッキング(Knocking)とは「ノックする」という意味が示すように、エンジン内で燃焼する際に発生する「異常燃焼」によって、ノックのような音が発生する現象のことで、カンカンというようなノイズや振動が発生します。

エンジンは本来、燃料をシリンダー内に噴射されたあと圧縮、スパークプラグによる点火で爆発という流れになりますが、ときに圧縮された際に自然発火して異常燃焼することがあり、これがノッキング発生原因のひとつです。

ノッキングの症状は?

ノッキングの症状は、カンカンやカラカラといったような金属音が聞こえたり、金属音を伴う振動が発生したりし、症状が酷いとエンジン内部やピストンなどの損傷を発生させます。

ノッキングによる金属音はアイドリング状態でも聞こえ、エンジンが冷えていると金属音は小さく、走り出してエンジンが温まるにつれ、音が大きくなる場合も多いです。

ノッキングによるバイクへのダメージ

激しいノッキングが発生し続けると、ピストンやピストンリングの破損、ガスケットの吹き抜けなど、エンジンに深刻なダメージを及ぼすことも。

低回転域でのノッキングはそれほどエンジンに影響を及ぼしませんが、高回転になればなるほど、ノッキングによるエンジンへの攻撃性も高まっていきます。

正常燃焼と異常燃焼がぶつかり、衝撃波となって高圧が燃焼室内部を巡るので、燃焼室の一部が欠けたり溶かしたりすることもあり、そうなるとエンジンの部品交換やオーバーホールが必要です。

ノッキングの原因は大きく2つ

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ノッキングの原因は大きく分けて2つで、自然発火が行われてしまう「デトネーション」と、プラグで点火する前に爆発を起こす「プレイグニッション」です。

デトネーション

デトネーションとは、エンジン内部で圧縮された混合気(ガソリンと空気の混合)が何らかの原因で自然発火し、異常燃焼を起こしてしまうことです。

通常は、圧縮された混合気はスパークプラグの点火で着火し爆発を起こしますが、デトネーションは、プラグの点火を待たずに爆発を起こしてしまい、ノッキングの発生原因となっています。
デトネーションは、異常燃焼による爆発に加え衝撃波も発生するので、エンジン内部への損傷を生みやすいです。

プレイグニッション

プレイグニッションは、スパークプラグで着火する前に自然発火してしまう現象のことで、ノッキングの発生原因の1つになっています。

燃焼室内が高温になることで、プラグやバルブなどのエンジン内部のパーツや、蓄積したカーボンなどの不純物が熱を受けて高温となり、それらが着火材となって自然発火してしまう現象です。
さらに、プレイグニッションによって燃焼室が高温となることで、また次のプレイグニッションを引き起こすという負の連鎖になっていくことも。

【対処法】ノッキングを防止するための対策

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ノッキングが頻繁に起きる状態だと、最悪の場合はピストンやバルブなどエンジン内部の破損に繋がりますので、しっかり防止対策を行っておきたいです。

ノッキングを防ぐには、以下の対策があります。

• オクタン価の高い燃料を入れる
• 燃料添加剤を入れる
• 点火時期を遅らせる
• エンジンに急に負荷をかけない
• スパークプラグを点検しておく
• エアークリーナーの点検・交換
• バイクショップに相談をする

オクタン価の高い燃料を入れる

オクタン価の高い燃料(ハイオクなど)を入れることで、ノッキングを抑える効果となることがあります。

オクタン価とは燃料の燃焼率を数値化したもので、日本の燃料はJIS(日本工業規格)によって定められており、レギュラーガソリンがオクタン価89以上、ハイオクが96以上です。

よりオクタン価の高いハイオクを入れることで、ノッキングを抑えたり防いだりすることができるほか、ハイオクには洗浄剤なども含まれており、ノッキングの原因にもなる燃焼室内部に蓄積したカーボンを除去する効果も認められます。

燃料添加剤を入れる

燃料添加剤はガソリンに注入するだけで、燃焼室やインジェクター(キャブレター)、吸排気バルブなどに蓄積したカーボンやワニスなど、不純物を除去してくれるアイテムです。

バイクは動かしている期間が長ければ長いほど、燃焼室にカーボンやワニスが蓄積しており、これらの不純物が熱源となってノッキングが発生する原因となることも。

燃料添加剤により燃焼室やインジェクションを除々に洗浄してくれるので、ノッキングの防止効果が期待できますが、使用後すぐに効果が現れることもあれば、時間をかけて除々に改善されていく場合もあります。

点火時期を遅らせる

点火時期を遅らせることで、より混合気を完全燃焼に近づけさせることができるので、ノッキング対策に有効です。

プラグより着火され燃焼される混合気は、プラグの方向から順々に燃え広がっていく形で燃焼が進んでいきますが、燃焼される前に排気が始まると、一部の混合気が不完全燃焼のまま排出されることとなります。

そこで点火時期を遅らせることで、より混合気が燃焼した後に排気が始まるようになるため、ノッキングの原因の1つである、不完全燃焼を抑えることにもつながるのです。

エンジンに負荷をかけない

エンジンが温まっているときよりも、冷えているときのほうがノッキングは起こりにくいですが、アイドリング時であっても急にアクセルを開けるとノッキングが発生しやすくなります。

また、走行中も急にアクセルを開けたり長時間全開で走ったりするなど、エンジンに負荷のかかる走り方をするとノッキングが発生しやすくなるので、エンジンに優しい走りを心がけることが大切です。

スパークプラグを点検しておく

スパークプラグ(プラグ)を定期的に点検、または交換しておくことで、ノッキングの原因である不完全燃焼を抑える効果があります。

プラグが経年劣化していたり電極部がすす焦げていたりすると、適切な火花を出すことができなくなり、混合気の未燃焼割合や不順物質が増えるので、定期的な点検や交換をしておきましょう。

ちなみにプラグは消耗品で、乗り方にもよりますが走行距離5,000Kmでの交換が一つの目安となっており、バイクに乗る時期や乗り方によって、熱価を見直してみるのもおすすめです。

エアークリーナーの点検・交換

エアークリーナーエレメント(フィルター)が汚れていると空気の取り込みが難しくなり、適正な混合気(燃料と空気が混合されたもの)をエンジンに供給できなくなります。

空気の量が少ないと燃料が濃い状態となり、燃焼不良になることでノッキングを誘発させる場合もあるので、エアークリーナーが汚れていないか定期的に点検し、交換をしておきましょう。

バイクショップに相談をする

ノッキング対策を行っても改善されない場合や、早く症状を改善したい場合は、信頼のおけるバイクショップに相談してみるのもおすすめです。

工賃は修理・改善部位やかかる時間、車種によっても異なりますが、ノッキングによりピストンやピストンの交換が必要な場合で35,000円前後~、点火時期の調整で2,500円~が目安になっています。

相談や見積もりは無料で行ってくれるショップも多いので、ノッキングの症状に悩まされている方は、一度相談してみるのがおすすめです。

ノッキングに関するFAQ

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こちらの項では、ノッキングに関するよくある疑問とその回答をまとめてありますので、ノッキングと疑われる症状がある方や、今後の予防策として知っておきたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

低速走行・低回転でエンジンがガクガクいうのはおかしい?

エンジンや車体の異常ではなく、乗り方を改善することでガクガクするのが直ることがありますので、一度乗り方を見直してみるのも良いでしょう。

1速での低速走行の場合は半クラッチを上手く活用し、低回転(2,000rpm以下)になっている場合は、ギアを1つ落として走行すれば改善されることも多いです。

車種にもよりますが、高回転型のエンジン(高い回転数でより力がでるようにセッティングされているエンジン)だと、低速・中速のトルクが弱かったり、ギア比の関係で低回転域だとエンジンが上手く回っていかなかったりして、ガクガクすることがあります。

高回転時に不規則にカンカンと音が鳴る…どうすれば?

高回転時に不規則にカンカンと音がなる場合、エアークリーナーエレメントの掃除・交換やスパークプラグの掃除・交換で改善することがあります。

エアークリーナーが汚れていると、適切な空気を取り込むことができず、混合気の燃料が濃い状態となり、高回転時に完全燃焼できず不規則にカンカンとなることも。

また、プラグにカーボンが付着していると適切な火花を飛ばすことができなくなり、同じような症状となることもありますので、まずはエアークリーナーやプラグの点検をしてみると良いでしょう。

低回転時のノッキング、エンジンのダメージはないって本当?

低回転時に発生するノッキングは不快な音はしますが、エンジンに深刻なダメージを与えるまでに至らないこと場合が多いです。

ノッキングはエンジンが高回転になればなるほど攻撃性が上がっていきますが、衝撃波が発生することもあり、高回転になればなるほどエンジン内部やピストンリング、ガスケットにも損傷を及ぼすことがある衝撃波も強くなっていきます。

低回転時のノッキングが気になる場合は、信頼のおけるバイクショップなどで点検や改善依頼をするか、オクタン価の高いハイオクを入れる、ガソリン添加剤を使うなどして様子を見ると良いでしょう。

デトネーションの症状や対策は?

デトネーションは、エンジン内部(シリンダー)に供給された混合気がプラグの着火を待たずして燃焼してしまう現象で、シリンダー内部での意図しない超高温による燃焼のことです。

デトネーションは衝撃波を伴う燃焼を起こすので、衝撃波によりピストンリングやガスケットなどに、設計時の耐性値を超える大きな圧力がかかり、欠けや削れ・破損などの損傷を与えることがあります。

燃焼室が高温・高圧になっていることで、デトネーションを生みやすい環境になっているので、必要な対策はエンジン内部の温度や圧力を下げてやることです。

具体的には、「オイルクーラーなどでエンジンを冷やす」「エアークリーナーを交換する」「燃料にハイオクを使う」「燃焼室のカーボンを除去する」があります。

まとめ

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バイクのノッキングについて、ノッキングとは何なのかという基礎知識から、発生原因、対策に渡って解説をしてきました。

アクセルを開けるとカンカンやカリカリといった音が発生するノッキングですが、高回転になるほど音や振動が大きく出てきますし、エンジンへのダメージも大きくなります。

ノッキングの発生原因ともなっている、「デトネーション」や「プレイグニッション」についても解説していますので、ノッキングとは何なのかを知りたい方や、症状に悩まされている方はぜひ参考にしてみてください。

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