バイクのクラッチレバーの遊び調整方法!必要性や交換の目安まで解説

バイクのクラッチレバーの遊び調整方法!必要性や交換の目安まで解説

バイクのクラッチの種類は2つ

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バイクのマニュアル車に必須のクラッチですが、大きく分けるとワイヤー式と油圧式があります。

調整が必要なのがワイヤー式ですが、それぞれがどのようなクラッチなのかを見ていきましょう。

ワイヤー式クラッチ

ワイヤー式クラッチは、クラッチレバーから伸びたワイヤーを介してクラッチの操作を行うタイプのクラッチです。

クラッチ操作時は、ワイヤーを引っ張る形でクラッチを動作させますが、ワイヤーで直接クラッチ操作を行うので操作時にダイレクト感があります。

また、ワイヤーは劣化したり錆が発生したりするので、ワイヤーのメンテナンスや交換が必要です。

油圧式クラッチ

油圧式クラッチは、油圧によってクラッチの操作を行うタイプで、メンテナンスフリーを目的に実装されたクラッチなので、ワイヤー式のようにメンテナンスが必要ありません。

遊び調整も基本的に自動で行われますが、ワイヤー式に比べると操作時のダイレクト感がなく、クラッチ操作時にワンクッションあるような感じを受けます。

クラッチ自体にメンテナンスや調整は不要ですが、経年や使用によって油(クラッチフルード)が劣化し、エアーが噛んだり錆が発生したりすることもあるので、交換が必要です。

バイククラッチの遊びとは?

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バイククラッチの遊びとは、クラッチを握った際にクラッチが作動するまでの間(ま)のことです。

クラッチの遊びには適切な量(範囲)があり、遊びがないと半クラッチが難しくなるのでエンストを起こしやすくなり、逆に多いとクラッチ操作をしてもクラッチが切れない、などの症状が起きます。

適正な遊びの量

バイククラッチの適正な遊びの量は、クラッチレバーの握り始めより10mm~20mmの範囲です。

握り始めから10mm~20mmで半クラ状態になるよう遊び調整を行いますが、遊びが少なすぎても多すぎてもクラッチ操作が難しくなります。

また、遊び調整はワイヤー式クラッチのみ行なえ、油圧式は油(クラッチフルード)によって自動的に遊び調整が行われますので、調整が不要です。

バイクのクラッチを調整していないとどうなる?

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バイクのクラッチ調整を怠ると、様々なトラブルを引き起こす原因になります。

クラッチ調整を怠った場合に起きる症状は以下の通りです。

  1. クラッチが切れない
  2. ニュートラルに入りにくい
  3. 加速時にクラッチが滑る

症状1.クラッチが切れない

バイククラッチの遊びが多いと、クラッチレバーを握ってもクラッチが切れていないことがあります。

クラッチが切れないままギアを入れると、ミッションに負担を与えたりクラッチに負担を与えたりして破損の原因となることも。

クラッチの切れが悪い場合は、クラッチの遊びが適切な量になっているのかを調べ、遊びが多い場合は適切な量に調整しましょう。

また、遊びの量は多すぎても少なすぎても、クラッチに悪い影響を与えますので、適切な量に調整する必要があります。

症状2.ニュートラルに入りにくい

クラッチの遊びが多いとクラッチが適切に切れなくなり、ニュートラルにも入りにくくなります。

ニュートラルの入りが悪いと感じたら、クラッチの遊び量が適切になっているか確認しましょう。

症状3.加速時にクラッチが滑る

加速時にクラッチが滑る(回転の割に加速していかない)場合は、クラッチの遊びが適切になっていない可能性があります。

遊びがほとんどない状態だと、クラッチを離した状態でも半クラッチ状態となり、エンジンの回転数を上げてもしっかりと加速しません。

また、常に半クラッチ状態になっているので、常にクラッチ盤が接して削れていくので摩耗が激しく、最悪の場合はクラッチの焼付きを起こします。

ワイヤー式クラッチの調整方法

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ワイヤー式クラッチは素材の性質上、クラッチワイヤーが伸びるので、定期的に遊び調整を行う必要があります。

ワイヤー式クラッチの遊び調整は2ヶ所で行え、クラッチレバー側で調整できる微調整とクラッチ側で行う本調整がありますが、まずはハンドル側で微調整を行い、適正な遊び量にならない場合はクラッチ側で本調整をしましょう。

微調整の方法(クラッチレバー側)

クラッチレバーの根本にあるアジャスターを回して、遊びを微調整できます。

微調整は、クラッチレバーの根本を覆うようにかかっているゴムカバーをめくり、円盤状のロックナットを緩めると、隣接するアジャスターの調整が可能です。

ロックナットやアジャスターが固くて回しにくい場合は、プライヤーなどを使ってギザギザを挟んで回すか、切り欠き部分にマイナスドライバーを当てて軽く叩くと緩んで周ります。

本調整の方法(クラッチ側)

クラッチレバー側で微調整をしても遊びが適切にならない場合は、クラッチ側で本調整を行いましょう。

クラッチワイヤーをたどっていくと、クラッチ付近に2つのナットで固定された箇所があり、それらのナットで調整ができます。

クラッチレバー側のナットは固定ナットになっているので、固定ナットを緩めると、クラッチ側(エンジン側)のナットで調整が可能です。

油圧クラッチの場合

油圧クラッチの場合は、ワイヤー式のように遊び調整をする必要がありません。

クラッチレバーの位置や角度によって、力の入りやすさや握りやすさが変わってくるので、力の入れやすい位置や角度にクラッチレバーの調整を行いましょう。

油圧式は細かな調整は不要ですが、クラッチフルードは劣化していく消耗品なので、新車時や前回の交換時より5年または、50,000Kmの走行距離を目安に交換を行います。

調整しても適正量にならない場合

遊び調整をしても適正量にならない場合や、錆などが発生して引っ張った際に抵抗のある場合はクラッチワイヤーの交換時期なので、新しいワイヤーに交換しましょう。

クラッチワイヤーも消耗品で、材質の性質からどんどん伸びてくるので、調整しても遊びが適正にならなくなってきたら交換が必要です。

また、錆が発生していたり汚れが多かったりする場合、ほつれがある場合も切れる前に速やかに交換をしましょう。

バイククラッチの交換目安は?

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バイクのクラッチはクラッチ板が消耗品なので、定期的な交換が必要になります。

クラッチ交換の目安は人(乗り方)によって大きく異なり、エンジンオイル交換などのように一概に走行距離を目安にするのは難しいです。

クラッチ交換の目安

バイクのクラッチ交換は乗り方によっても大きく変わり、半クラッチを多用する方はクラッチ板の消耗も早く進むので、交換サイクルも短くなります。

クラッチミートが得意でない方は、新車時や前回の交換から3,000Km程度でクラッチが滑り出すこともありますし、クラッチを温存した乗り方ができる方は、10,000Km以上クラッチが持つことも。

クラッチの滑り(エンジン回転数に見合った加速をしない状態)が酷くなってきた場合や、クラッチの遊び調整をしても遊び量が確保できなくなってきた時です。

クラッチ交換費用の目安

バイクのクラッチ交換費用の目安ですが、クラッチ板の交換は車種などにより12,000円~30,000円程度、カウル付きバイクの場合はカウルの脱着が必要なので、更に1,000円~2,000円程度加算されます。

クラッチワイヤーのみの交換の場合は、2,000円~6,000円程度、クラッチフルード交換は2,000円~4,000円程度です。

クラッチが滑り出すと回転数の割に加速していかないので、余計にアクセルを開けるため、燃費も悪化していくので、症状が出てきたら早めに点検や交換をしましょう。

バイクのクラッチ調整に関するFAQ

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こちらの項では、バイクのクラッチ調整に関する「よくある疑問・質問」と「回答」についてまとめてあります。

クラッチ周りの調整や遊びについてより知識を得たい方は、ぜひこちらも参考にしてみてください。

クラッチの遊びが多いとどうなる?

クラッチの遊びが少なすぎると、ハンドルを切った際にクラッチワイヤーが引っ張られ、不意にクラッチが切れたり、常に半クラ(半クラッチ)状態になることがあります。

逆に遊びが多すぎる場合は、クラッチを切っても切れていない状態になり、ギアの入りが悪くなることもあります。

クラッチの遊びは10mm~20mmが適正とされているので、適正量の範囲内に収まるよう調整を行いましょう。

クラッチ調整の頻度はどれくらいが目安?

ワイヤー式クラッチの調整頻度はクラッチをどれだけ使うかによって異なりますが、走行距離で2,000Km~3,000Kmを目安に遊びの量を確認すると良いでしょう。

また、ニュートラルの入りが悪く感じるようになった、ギアが今ひとつ入りづらいという場合も、クラッチの遊びが適切な量になっているか確認してみるのがおすすめです。

クラッチが滑っているかの確認方法はある?

クラッチが滑っているかどうかの確認方法は、ギアを1速に入れ、リアブレーキを掛けたまま発進してみると分かります。

もしクラッチが正常ならエンストしますし、クラッチが滑っているなら、エンストせずに回転数が上がっていくのですぐに分かるでしょう。

クラッチが滑っているなら、ギアが入りにくくなったり、燃費も悪化したりするので、早めの点検や必要部品の交換が必要です。

クラッチの位置は遠い方がいい?近い方がいい?

クラッチの位置は手の大きさや好みの問題もありますが、クラッチが正確に操作できるのなら、クラッチ操作がしやすい位置に合わせて大丈夫です。

クラッチがちゃんと切れないと、動力が切れずにシフトチェンジがしにくくなったり、常に半クラが当たり無駄にクラッチ板が摩耗したりします。

しっかりクラッチが切れているかどうかが重要ですので、クラッチ操作がちゃんとできる範囲で、自分に合った位置や角度にするのがよいでしょう。

まとめ

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バイククラッチにはワイヤー式と油圧式がありますが、ワイヤー式で必要な遊び調整を中心に解説してきました。

クラッチワイヤーの遊びは、多すぎても少なすぎても走行やクラッチに影響が出るので、適正な量に調整しておく必要がありますが、油圧式はクラッチフルードが自動的に調整してくれるので、遊び調整は必要ありません。

バイクのクラッチ調整は2箇所で行えますが、遊び調整を行っても適正な遊び量にならない場合や、クラッチワイヤーに錆が発生していたりほつれが起きていたりする場合は、ワイヤーの切れを防止するため早めの交換が必要です。

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