バイクのクラッチレバーが重い原因とは?
引用元:https://unsplash.com/ja/A4-CRmcBeINxtg
バイクのクラッチはギアを操作する上で重要な部分ですが、走行しているとクラッチが重く感じてくることがあります。
クラッチが重くなる原因は、主に以下のとおりです。
- 車種特有の重さ
- 注油切れや汚れの付着
- クラッチワイヤーの錆びや劣化
- フルードの劣化
- クラッチワイヤーの取り回しに問題がある
- クラッチレバーの位置・遊びの調整
原因1.車種特有の重さ
バイクのクラッチが重い理由の一つに、車種やメーカー特有のクラッチの重さがあります。
特にハーレー・ダビッドソンのクラッチの重さは有名で、エンジン排気量が大きくパワーもあるので、パワーを受け止めるためにクラッチのスプリングがとても強い仕様です。
国産ならCB、輸入車ならハーレー・ダビッドソンなど、もともとクラッチが重いバイクがあります。
原因2.注油切れや汚れの付着
クラッチの油が切れると、潤滑が上手くいかなくなるため、クラッチが重くなります。
また、ホコリや泥などの汚れや錆がクラッチワイヤーに付着していると、クラッチの動作を邪魔してスムーズに動作しづらくなるので、クラッチが重くなる原因です。
汚れはクラッチワイヤーの動作がスムーズにいかないだけでなく、放置したままにしておくと、クラッチ操作自体できなくなる可能性もあります。
原因3.クラッチワイヤーの錆びや劣化
錆の発生により、クラッチワイヤーの動きが阻害されて、クラッチが重くなるケースもあります。
錆の場合はワイヤーが酸化して錆が発生しているので、ワイヤーの耐久性も落ちているなど劣化も考えられ、切れてしまう可能性もあり危険です。
特にツーリングなど自宅から遠く離れる場合は、クラッチワイヤーが切れると悲惨ですので、クラッチの重さを感じたらしっかりメンテナンスを行った上で出かけましょう。
原因4.フルードの劣化
クラッチフルードが劣化すると、フルード内に錆が発生していたりエアーが噛みやすくなったりしてクラッチが重くなることがあります。
また、クラッチ操作が的確にできるようフルードが潤滑しているので、フルードが劣化していると、クラッチを切っているのに切れてないなどの症状が起こることも。
クラッチが切れているつもりが切れていないと、正しくシフト操作ができなくなるので、ぎこちない走行になるなど、走行性や快適性にも影響が出やすいです。
フルードの交換時期の目安
バイクのクラッチフルードの交換時期は、新車または交換してから50,000Kmまたは、5年経過後です。
エンジンオイルほど交換頻度が多くないため、交換や点検を忘れがちですが、フルードが劣化してくるとクラッチの切れが悪くなったり、錆が発生したりすることもあります。
また、1年以上乗っていないバイクに乗る際は、走行前にエンジンオイル交換をするのと共に、クラッチフルードの交換も忘れずに行いましょう。
原因5.クラッチワイヤーの取り回しに問題がある
クラッチワイヤーの取り回しに問題があると、クラッチが重く感じることがあります。
取り回しによってワイヤーが張り気味になっていると、クラッチの遊びが無くなるので重く感じますし、逆に長めだとワイヤー周辺のパーツなどに干渉し、重くなることも。
ハンドルの交換した際もクラッチワイヤーの長さが合わなくなることがあるので、クラッチワイヤーが長め、または短めになっていないか確認をしましょう。
原因6.クラッチレバーの位置・遊びの量に問題がある
クラッチレバーの位置によって、クラッチが重く感じることがあります。
クラッチレバーはてこの原理を理想して、クラッチ操作するようになっているため、クラッチレバーの位置によっては力が入りづらく、その結果重く感じることも。
また、クラッチワイヤーの遊びが極端に少ないとクラッチ操作時に、より大きな力が必要になるので、遊びの量が適切でない場合もクラッチが重くなる原因です。
クラッチレバーの位置調整
クラッチレバーの根本にダイヤル式の調整がついている車種は、クラッチレバーの距離が調整できます。
ダイヤルを1つずつ回しながらクラッチレバーを握り込み、最適な位置を探してみましょう。
クラッチレバーの調整が終わったら、同時にブレーキ側も位置を調整し、左右でバランスを取るようにします。
クラッチレバーが重いときの対策・メンテナンス
引用元:https://unsplash.com/ja/BA-MS0q8GqjVrY
「クラッチレバーが重くなったな」と思ったり、中古車を購入して「クラッチが重い」と感じたりした場合は、以下の対策やメンテナンスをしてみてください。
- 清掃などメンテナンスを行う
- アジャスターで遊びを調整する
- クラッチワイヤーの取り回しを見直す
- クラッチワイヤーを交換する
- クラッチレバーの握り方を見直す
順番に詳しく解説していきます。
対策1.清掃などメンテナンスを行う
クラッチが重く感じたら、クラッチワイヤーやクラッチレバーなど、クラッチ周りのメンテンナンスを行ってみましょう。
ワイヤーにホコリなどの汚れや錆が付着していると、汚れがクラッチの動作を邪魔したり、錆が固着したりしてクラッチが重くなります。
クラッチレバーやワイヤー周辺の汚れ取りとグリスアップをし、再び重くなったり動作不良になったりしないよう、定期的にメンテナンスを行いましょう。
対策2.クラッチの遊び調整をする
クラッチの遊びが適切になっていないと、クラッチが重く感じることがありますので、遊びの量が適切になっているか確認をしてみましょう。(1cm~2cm程度)
バイクのクラッチには、ワイヤー式と油圧式があり、アジャスターで調整が必要なのがワイヤー式で、油圧式は基本的に油によって自動調整されるので、調整する必要がありません。
ワイヤー式の遊び量を多く取るとクラッチ操作が柔らかめになりますが、遊び量が多すぎるとクラッチが切れなくなるので、注意が必要です。
クラッチの遊び調整方法
クラッチの遊び調整を行うとクラッチを握る幅が変わり、握った際のクラッチが切れる位置も変わります。
クラッチの遊び調整は簡単で、クラッチレバーの根本にある円盤型のネジ(ロックネジ)を回して緩め、円盤型のネジの隣にあるネジで調整できます。
適切な遊び量に調整できたら円盤型のネジを締めて固定し、遊び調整は完了です。
対策3.クラッチワイヤーの取り回しを見直す
クラッチワイヤーの取り回しが短すぎたり、逆に長過ぎたりするとクラッチ動作に影響がでることがありますので、長さや取り回しが最適になっているのかを見直しましょう。
短すぎるとクラッチの遊びが無くなるので重くなりますし、クラッチワイヤーが長すぎると周辺に干渉して重くなっていることもあります。
ハンドル交換した場合は、ハンドルの長さが変わり純正ハンドルとはワイヤーの取り回しも変わっている可能性があるので、クラッチワイヤーの長さが適切かどうかの確認が必要です。
対策4.クラッチワイヤーを交換する
クラッチワイヤーが劣化していたり、錆が発生していたりする場合は、クラッチワイヤーの交換を行いましょう。
また、ハンドル交換のカスタムを行った場合も、クラッチワイヤーの長さが適切ではなくなっていることもあるので、その場合はクラッチワイヤーを適切なものへの交換が必要です。
クラッチワイヤーも伸びてくるので、アジャスターなどで調整をしても遊びが多い場合も、交換が必要になります。
対策5.クラッチレバーの握り方を見直す
クラッチレバーは梃子(てこ)の原理で動作するので、クラッチレバーを握る位置や握り方を見直すことで動作が軽くなることがあります。
また、クラッチレバーの角度を変えることでも握りやすさが変わるので、自分に合った
角度に調整するのもおすすめです。
ホルダーのボルトを緩めるとクラッチレバーの向きを変えられるので、バイクにまたがって握りやすい位置を見つけて固定しましょう。
対策6.クラッチレバーの距離を調整する
クラッチレバーの根本に丸いダイヤルがついている車種は、ダイヤルを回せばクラッチレバーの位置(距離)の調整が可能です。(工具不要)
ダイヤルを回して握りやすいクラッチレバーの位置に調整すれば、クラッチ操作も楽になりますし、長時間の走行でも疲れにくくなります。
クラッチレバーの距離を調整したら、ブレーキレバーも同じように調整して左右のバランスを取りましょう。
バイクカスタムでクラッチを軽くする方法
引用元:https://unsplash.com/ja/A4-7waHOTcvcT4
バイクのクラッチ周りにカスタムを施すことでも、クラッチ操作が軽くなります。
主にクラッチ周りでできるカスタムは、以下の通りです。
- VPクラッチを取り付ける
- ライトクラッチを取り付ける
- クラッチレバーを交換する
- クラッチ周辺パーツの交換
カスタム1.VPクラッチを取り付ける
クラッチを軽くするカスタムとして定評があるのが、VPクラッチを取り付ける方法です。
VPとは圧力可変を意味する「Variable Pressure」の略で、クラッチプレートを押さえるリテ^ナーを交換し、スプリングを柔らかくしてクラッチ操作を軽くしてくれます。
ハーレー・ダビッドソンなど、もともとクラッチが重いバイクの定番カスタムでもあり、スプリングの力を弱めることでクラッチ操作がスムーズになるので、シフトの入りも容易です。
<h3>カスタム2.ライトクラッチを取り付ける</h3>
VPクラッチ同様に、クラッチ操作が軽くなる定番のカスタムに、ライトクラッチキットがあります。
キットも1万円程度からと比較的安く購入でき、クラッチを引く力も純正の40%程度軽減されますので、特に握力に自信の無い方や手が小さい方にとっては、交換の恩恵が大きいです。
ただし、ライトクラッチのキットによっては、ニュートラルが若干入りにくくなったり、クラッチの切れが悪くなったりすることもあります。
カスタム3.クラッチレバーを交換する
握る力を軽減してくれるクラッチレバーも販売されており、それらレバーに交換すれば、クラッチ操作がスムーズになり、クラッチが軽くなることがあります。
ビレットレバーやライトクラッチレバーなどの名称で販売されており、クラッチレバーの角度や位置も簡単に変えられるモデルもあり、自分の体型やポジションに合わせた調整が可能です。
ブランドの刻印がなされ洗練されたデザインになっているなど、見た目も変化させてくれるクラッチレバーもあるので、バイクの雰囲気に合わせて選ぶのも良いでしょう。
カスタム4.クラッチ周辺パーツの交換
クラッチ周辺のパーツを交換して、クラッチを軽くする方法もあります。
クラッチスプリングをよりバネレートの低いものに交換すると、クラッチを握るときの反発力も減るのでクラッチが軽くなりますが、低くしすぎるとクラッチ滑りの原因となるので、注意が必要です。
また、プッシュロッドに曲がりがあったり摩耗が進んでいたりすると、クラッチの切れが悪くなるので、新品に交換すると重さが改善されることがあります。
まとめ
引用元:https://unsplash.com/ja/B7-zGzXsJUBQfs
バイクのクラッチが重い理由について、重くなる原因と改善策について解説してきました。
クラッチの重さはもともとの車種が持つ特性であることもありますが、メンテナンス不足により、クラッチ周辺のパーツにヘタリや摩耗が出て重くなっていることもしばしばあります。
また、クラッチ操作が軽くなるクラッチ周りのカスタムパーツも多数販売されているので、メンテナンスでも重さが改善されない場合は、カスタムでクラッチを軽くする方法を検討してみてください。